過日3月23日に発表されました地価公示の発表について、要旨をご紹介したいと思います。日々私の土地の評価活動の一端をご紹介致します。
まず今回の地価公示の特徴としては、三大都市圏の土地の過半が上昇に転じてきている点です。全国の最高地点(商業地でありますが)は、あの有名な銀座4丁目山野楽器銀座本店で、単価は@4,010万円/㎡(坪約1.3億円)、対前年比18.6%の上昇となっております。銀座、新宿の高度商業地は全て15%以上の上昇です。
住宅地の最高地は千代田区六番町で、単価は@348万円/㎡(坪約1,150万円)、対前年比は10.5%の上昇となっております。千代田区及び港区赤坂等の高級住宅地は全て10%以上の上昇でした。
東京圏の商業地の上昇は、東京オリンピックに向けての建設ラッシュ及び金融緩和の影響もあると思われますが、上昇地点は全体の8割近くに及び、都心は訪日外国人でにぎわい、駅近くの再開発も活発となっております。
これに対し、隣接県である 埼玉県、神奈川県は地価の上昇幅が縮小しており、駅徒歩圏をはずれた住宅地の需要は鈍くなっているそうです。
首都圏及び三大都市圏に比べて、地方圏においては土地の需要が鈍く、長野県では 住宅地では△1.3%、商業地では△1.9%と 下落率は圧縮したものの引き続き土地は下落しております。隣接の山梨県でも 住宅地△2.0%、商業地△1.8%、栃木県、群馬県、茨城県でも 住宅地で△1.0%~△1.2%の下落、商業地で△1.2%~△1.6%と下落しており、力強さを欠いています。
以上を総括すると、都心の地価上昇の起点となったのは、東京オリンピックの建設ラッシュもありますが、主として大規模な金融緩和の影響だと考えられます。都心の地価上昇については日銀自身がリートと呼ばれる不動産投資信託を920億円も買い増し、累計で2,900億円も不動産投資信託を買い込んでおります。地価公示の価格時点以降である1月29日に日銀がマイナス金利政策を発表したため、その影響については未知数ですが、人為的な政策のため地価の上昇については流動的だと考えております。
尚、北陸3県の商業地については、依然上昇が続いており、金沢駅周辺で31.2%、富山駅前では7.5%の上昇となっており、北陸新幹線の延伸効果は続いております。最後になりますが、都会と地方の2極化を改めて実感した地価公示でありました。以上で会長の挨拶とさせて頂きます。
Last Update:2016年04月06日